宅地建物取引士(宅建)の試験では、税金に関する出題が毎年のように見られます。中でも「不動産取得税」と「固定資産税」は、理解しておかないと得点源にできない重要項目です。
この2つの税金は、名前も似ており混同しやすいですが、課税のタイミングや対象、税率、軽減措置などが大きく異なります。この記事では、宅建試験に必要な知識に絞って、不動産取得税と固定資産税のポイントをわかりやすく解説していきます。
条文暗記に走る前に、「どういう意味なのか」「なぜこうなっているのか」を理解することが合格への近道です。それではさっそく見ていきましょう。
不動産取得税は、土地や建物を取得したときに一度だけ課される地方税です。固定資産税と異なり、継続的に課税されるものではない点がポイントです。
※相続による取得は課税対象外です。宅建試験ではこの点がよく問われます。
原則として以下の通りです。
資産の種類 | 税率 |
---|---|
土地・建物 | 4% |
ただし、住宅用の建物には軽減措置があるため、税率は3%に軽減される場合があります。
不動産の「固定資産税評価額」が課税標準となります。購入価格とは異なるため注意が必要です。
例:不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 税率(通常4%)
不動産取得税には、一定の条件を満たすと軽減措置が適用される制度があります。
この軽減制度は期限付きの場合もあるので、年度ごとの確認が必要です。
固定資産税は、不動産を所有している人に対して毎年課税される地方税です。不動産を「持っているだけ」でかかる税金というのが特徴です。
たとえば、1月1日時点で登記が完了していれば、その年の固定資産税は新所有者に課税されます。
原則として1.4%です(標準税率)
資産の種類 | 税率(標準) |
---|---|
土地・建物 | 1.4% |
※市町村が条例で引き上げることも可能です(上限2.1%)
こちらも「固定資産税評価額」が基準になります。評価額は3年ごとに見直されます。
固定資産税にも軽減措置が用意されています。宅建試験で頻出なのは以下の2つです。
※この軽減は自動的に適用されるわけではなく、申請が必要な場合があります。
この軽減制度は、土地にかかる税負担を抑える目的で設けられています。
項目 | 不動産取得税 | 固定資産税 |
---|---|---|
税の種類 | 地方税(都道府県) | 地方税(市町村) |
課税タイミング | 不動産取得時 | 毎年1月1日時点の所有者に課税 |
課税回数 | 一度きり | 毎年 |
税率 | 原則4%(軽減で3%) | 原則1.4%(上限2.1%) |
課税標準 | 固定資産税評価額 | 固定資産税評価額 |
主な軽減措置 | 新築住宅・住宅用土地 | 新築住宅・小規模住宅用地 |
この表を覚えておくと、試験で問われた際に混同せずに答えることができます。
不動産取得税と固定資産税は、民法や宅建業法に比べて出題数が少ないとはいえ、確実に得点したい分野です。
不動産取得税と固定資産税は、不動産に関する税金の中でも宅建試験で押さえておくべき重要項目です。課税されるタイミングや対象、不動産の種類によって異なる軽減措置などを理解しておくことで、混乱せずに問題を解けるようになります。
宅建試験は、暗記だけでなく「意味を理解すること」が合格への鍵です。この2つの税金について、しっかりとポイントを整理しておきましょう。