宅建士の資格取得を目指すにあたり、宅建業法の理解は必須です。中でも「宅建業の免許制度」は試験でも頻出の重要テーマです。
この制度は、誰が宅建業を営めるのか、どのようなルールがあるのかを定めたもので、宅建業者にとっての「出発点」ともいえる制度です。
この記事では、宅建業の免許制度の仕組み、免許の要件、申請方法、更新手続きなど、宅建試験に頻出のポイントをやさしく解説します。
勉強の理解を深めたい方、宅建業について知識を整理したい方にとって、役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
宅建業とは、「宅地や建物の売買、交換、またはこれらの代理や媒介を業として行うこと」をいいます。
この「業として行う」というのは、反復継続して行う意思を持ち、かつ報酬を得る目的があることが前提です。
たとえば、自分の家を一度売るだけなら宅建業には該当しませんが、他人の不動産を仲介して報酬を得ようとする場合は、宅建業にあたります。
宅建業を行うには、必ず「宅建業の免許」が必要になります。無免許で宅建業を行った場合、厳しい罰則が科されます。
宅建業の免許を取得するためには、申請先を正しく選ぶ必要があります。
免許の種類は、以下の2つに分けられます。
違いは、営業所の所在地数と場所にあります。
たとえば、東京に本店があり、埼玉にも支店がある場合は「大臣免許」が必要になります。
一方、東京にしか営業所がないなら「東京都知事免許」となります。
宅建業免許を取得するためには、次のような人的要件と欠格事由がポイントになります。
宅建業者は、**各事務所に1名以上の「専任の宅建士」**を置く必要があります。
この専任とは、「常勤かつ専属」であることを意味し、他の会社との兼業や非常勤では認められません。
免許を受けようとする法人やその役員、個人事業主が以下に該当する場合、免許は下りません。
このような欠格事由は、法的に厳しくチェックされます。
免許の申請は、営業所の所在地を管轄する都道府県庁や地方整備局に対して行います。
申請には、以下のような書類が必要です。
申請後、約1〜2か月ほどの審査期間を経て、免許証が交付されます。
免許が交付されてから、業務開始前に「免許証の提示」「宅建業者票の掲示」「報酬額の掲示」などの準備が必要です。
宅建業免許には有効期間があり、5年ごとの更新が必要です。
免許の有効期間が満了する30日前までに、更新手続きを行わないと、免許が失効してしまいます。
更新時にも、初回と同様に欠格事由がないかの確認や、専任の宅建士の在籍確認などが行われます。
また、都道府県によっては講習の受講が必要な場合もあります。
宅建業の免許番号は、たとえば次のように表記されます。
東京都知事(3)第12345号
この「(3)」という数字は、何回目の免許かを表しています。つまり、この業者は現在「3回目の更新」をしている、という意味です。
数字が大きいほど、長く宅建業を続けている業者であることがわかります。
宅建業免許を持たずに営業を行った場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります(宅建業法第77条)。
また、法人の場合は、法人にも同等の罰金が科されることがあります。
仮に「親戚の土地を手伝って売る」などでも、報酬が発生する場合は宅建業に該当する恐れがあるため、注意が必要です。
免許の必要性が少しでもあるなら、事前に都道府県庁などに相談するのが安全です。
混同されがちですが、「宅建業免許」と「宅建士資格」は別物です。
たとえば、あなたが宅建士の資格を持っていても、会社として宅建業を始めたいなら、免許を取らなければなりません。
宅建業の免許制度は、宅建業法の中でも基礎中の基礎となる重要なポイントです。
試験対策としても、次の点は押さえておきましょう。
宅建士を目指す皆さんにとって、この免許制度を正しく理解することは、試験だけでなく、将来実務に携わる際にも大きな武器になります。
基本からしっかり押さえて、合格への一歩を踏み出しましょう!