宅地建物取引士(宅建士)の試験では、都市計画法や建築基準法といった法令の理解が重要です。中でも「建築基準法」は、建物の構造や建築制限に関する出題が多く、得点源にしやすい分野でもあります。しかし、法律特有の言い回しや用語が多いため、苦手意識を持つ受験者も少なくありません。この記事では、宅建試験に頻出する「建築基準法」について、ポイントを絞ってわかりやすく解説します。効率よく学習するための覚え方や、よくある引っかけ問題への対策も紹介しますので、ぜひ最後まで読んで得点力アップに役立ててください。
建築基準法は、「人々の安全・健康・生活環境を守るため」に建築物の構造や用途、敷地などに関する基準を定めた法律です。昭和25年に制定され、時代の変化に合わせて改正が繰り返されてきました。
宅建試験では、以下のような視点からの出題が多いです:
つまり、「どこに」「どんな建物が」「どのように建てられるのか」が問われるのです。
建築基準法では、用途地域ごとに建てられる建物の種類が決まっています。たとえば、住宅地に工場が建っては住環境が悪化してしまうため、地域ごとに制限を設けているのです。
用途地域は全部で13種類あり、次のように分類されます。
【例題対策】 第一種低層住居専用地域では、原則として3階建て以上の建物や店舗の建築は認められていません。
【覚え方】 「低層=静かな住宅地=店舗ダメ」とイメージで覚えると効果的です。
建ぺい率と容積率は、敷地のどれくらいの面積に建物を建てられるか、何階まで建てられるかを示す指標です。
【例】 敷地面積100㎡、建ぺい率60%なら、建築面積は60㎡まで。
注意すべきは、「前面道路の幅員によって容積率が制限される場合」があることです。
【公式】 前面道路の幅 × 0.4(もしくは0.6)=最高容積率(%)
【例題対策】 「容積率200%、前面道路幅員4m、住居系地域(制限0.4)」
→ 4m×0.4=160% → 200%より小さいので160%が適用される
建築物を建てるには、原則として「幅4m以上の道路に2m以上接している敷地」である必要があります。これを「接道義務」と呼びます。
道路の種類も試験に頻出です:
【ポイント】 建築基準法上の道路でないと建築確認が下りません。私道でも「位置指定道路」であればOK。
【覚え方】 「1号=普通の道」「5号=指定された道」「2項=古いけどみなす道」
都市部では火災被害を防ぐため、「防火地域」や「準防火地域」が定められています。
【頻出ポイント】 建築する場所と建物の規模に応じて、構造の基準が変わります。
【例題】 「準防火地域で延べ面積600㎡の建物を新築する場合はどうなる?」
→ 準耐火建築物以上が必要、というような出題に備えましょう。
原則として、新築・増築・改築・移転には「建築確認」が必要です。これは建築主事または指定確認検査機関に申請します。
【例外】
【出題例】 「10㎡以下の物置を設置する場合、建築確認は必要か?」→ 不要
【注意】 増築部分が10㎡を超える場合は、確認申請が必要になります。
宅建試験では、建築基準法の細かい条文から「数字」や「例外」を問う問題が多く出されます。
【引っかけ例】
【対策】 数字は語呂合わせや図で覚える。過去問を繰り返して出題パターンを把握することが有効です。
建築基準法は、宅建試験において得点源になる重要な分野です。一見すると複雑なルールに見えますが、ポイントを押さえて繰り返し学習すれば、確実に点を取れるようになります。用途地域、建ぺい率・容積率、接道義務、防火地域の規制、建築確認の範囲など、頻出の論点に的を絞って学習しましょう。過去問を活用し、知識を定着させることで本番での自信にもつながります。効率よく合格を目指して、ぜひこの記事を何度も読み返して学びを深めてください。