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民法における「双方代理」とは? ルール・例外・判例をわかりやすく解説

民法において「双方代理」とは、1人の代理人が契約の当事者双方を代理することを指します。一見すると効率的なようにも思えますが、法律上は禁止される原則があります。なぜ双方代理が制限されるのか、どのような場合に認められるのか、具体例や判例を交えて解説します。

本記事では、民法における双方代理の基本ルールや例外、実際の判例などを詳しく解説し、わかりやすくまとめました。


1. 双方代理とは? 民法上の基本ルール

双方代理の定義

民法における「双方代理」とは、1人の代理人が契約の当事者であるAとBの両方を代理して契約を成立させることを指します。

たとえば、AとBが売買契約を結ぶ際に、Cが両者の代理人として契約を締結するケースが該当します。

双方代理の禁止(民法108条)

民法第108条では、代理人が契約の双方を代理することを原則として禁止しています。これは、代理人が自己の利益を優先してしまい、本来の代理目的である本人の利益を損なう可能性があるためです。

この規定により、代理人は次の行為を行うことができません。

  1. 自己契約(代理人が本人の相手方として契約するケース)
  2. 双方代理(1人の代理人が契約当事者双方を代理するケース)

ただし、例外的に双方代理が認められる場合もあります。


2. 双方代理が認められるケース(例外規定)

(1) 本人の許諾がある場合

民法108条のただし書きでは、「本人があらかじめ許諾した場合」は双方代理が認められるとしています。

例えば、

  • AとBの双方が「Cが代理人になってもよい」と事前に同意している場合
  • 委任契約の中で双方代理が明示的に許可されている場合

このような場合、双方代理は有効になります。

(2) 法律の規定がある場合

特定の法律が、例外的に双方代理を許可することがあります。例えば、会社法では一定の条件下で双方代理が認められることがあります。

(3) 利害関係が衝突しない場合

双方代理でも、契約の内容が両者にとって利益相反しない場合は、認められるケースもあります。

例えば、

  • 単なる履行行為(お金の支払いを代理人が行うだけの場合)
  • 代理人が単なる事務手続きだけを行う場合

このような場合には、利益相反がないため、双方代理が認められることがあります。


3. 双方代理が無効となるケースとその影響

(1) 双方代理が禁止される理由

双方代理が禁止される理由は、代理人が不適切な契約を締結するリスクがあるためです。たとえば、

  • 一方に有利な条件で契約を結び、もう一方を不利にする可能性がある
  • 代理人が自分の利益を優先し、本人の利益を損なう可能性がある

このような問題を防ぐために、民法では双方代理を原則として禁止しています。

(2) 双方代理の契約は「無権代理行為」となる

民法108条に違反した契約は「無権代理行為」となり、原則として無効になります。ただし、本人が後から追認すれば有効となるケースもあります(民法113条)。

例えば、

  • 代理人CがAとBの契約を無断で双方代理した場合、契約は原則無効
  • その後、AとBが合意して契約を追認すれば有効になる

したがって、契約が有効か無効かは、本人の判断に委ねられることになります。


4. 双方代理に関する判例と実務上のポイント

(1) 判例:双方代理が争点となった事例

実際の判例では、双方代理が問題となるケースが多く見られます。

例えば、

  • 不動産売買契約のケース
    → 代理人が売主・買主の両方を代理し、売主にとって不利な価格で売買契約を締結した場合、裁判所は「無効」と判断した。
  • 会社の取締役が双方代理したケース
    → 取締役が自己の会社と他の会社の両方を代理して契約を結び、利益相反が問題視されたケースでは、契約が無効と判断された。

このように、双方代理が認められるかどうかは、ケースごとの具体的な状況により異なります。

(2) 実務上の注意点

実際のビジネスや法律実務では、双方代理を避けるために以下の点に注意が必要です。

  1. 代理契約を締結する際には、代理権の範囲を明確にする
  2. 本人の許諾を事前に得る
  3. 双方代理のリスクがある場合は、代理人を別々に立てる

こうした対策を講じることで、双方代理によるトラブルを防ぐことができます。


5. まとめ:双方代理のルールを正しく理解しよう

民法における「双方代理」は、代理人が契約当事者の双方を代理する行為ですが、民法108条により原則として禁止されています。

ただし、本人の許諾がある場合や、法律で認められた場合には、例外的に有効となります。

実務上は、代理権の範囲を明確にし、双方代理のリスクを十分に考慮することが重要です。

双方代理を適切に理解し、適用することで、契約トラブルを未然に防ぐことができます。

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