経理や簿記の仕事に関わっていると、「仕訳日計表(しわけにっけいひょう)」という言葉を耳にすることがあると思います。仕訳帳や総勘定元帳などと並んで、経理処理において大切な帳簿の一つです。しかし、名前だけを聞いて「具体的に何をする表なの?」「どうやって記入するの?」と疑問を感じる方も多いでしょう。
この記事では、仕訳日計表の基本的な役割から記入方法、業務での活用例まで、初心者にもわかりやすく解説します。簿記の学習中の方や、日々の経理業務でスムーズに処理を進めたい方にぜひ読んでいただきたい内容です。
仕訳日計表とは、1日ごとに発生したすべての仕訳(取引の記録)を一覧形式でまとめた表のことです。文字通り「仕訳」を「日計(1日単位で集計)」した帳簿であり、仕訳帳の補助的な役割を果たします。
主に以下の情報が記載されます。
仕訳帳と異なり、1日の取引ごとの仕訳をまとめて確認できるため、集計やチェックがしやすくなります。
仕訳日計表には、以下のような役割とメリットがあります。
仕訳帳では膨大な取引が時系列で記録されていくため、必要な取引を見つけるのに時間がかかることがあります。一方、仕訳日計表では、1日の取引をすべて一覧で確認できるため、間違いや漏れのチェックがしやすくなります。
毎日の取引を仕訳日計表で整理しておけば、月末の集計時にもスムーズに作業が進みます。日次で数値を確認できるため、月次報告書や財務諸表作成にも役立ちます。
複数人で経理業務を行っている場合、仕訳日計表があれば誰がどの取引を入力したか、いつどんな取引があったかを明確に確認できます。
仕訳日計表の基本的な構成は以下のようになります。
日付 | 摘要 | 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|---|---|
7/1 | 商品仕入 | 仕入 | 100,000 | 買掛金 | 100,000 |
7/1 | 売上 | 売掛金 | 150,000 | 売上 | 150,000 |
このように、1件ずつ取引を記載し、1日の合計を最後にまとめます。
仕訳帳は、すべての仕訳を時系列で記録する帳簿です。仕訳日計表はその日ごとの仕訳を「日計」する目的で作られるため、視認性が高く、日次管理に特化しています。
総勘定元帳は、勘定科目ごとに取引をまとめた帳簿で、月次や年次の管理に役立ちます。仕訳日計表は「日単位での取引の流れ」を俯瞰できる資料なので、日常業務での迅速な確認やエラー発見に向いています。
Excelを使って仕訳日計表を自作することも可能です。以下のような手順で作成します。
「弥生会計」や「freee」「マネーフォワードクラウド会計」などの会計ソフトを使えば、仕訳を入力するだけで日計表が自動で生成されます。
この場合、日計表はレポート機能として出力でき、PDF保存や印刷にも対応しています。
経理担当者は、次のような視点で日々の仕訳日計表をチェックすることが重要です。
定期的に第三者が確認することで、ミスや不正を未然に防ぐ効果も期待できます。
仕訳日計表は法定帳簿ではありませんが、業務上の記録として重要です。基本的には他の帳簿と同様に保存しておくことが推奨され、税務調査の際に提出を求められる場合もあります。
クラウドサービスでのデータ保存や、PDFでの電子保存にも対応しておくと安心です。
仕訳日計表は、日々の取引を正確かつ効率的に把握するための非常に便利な帳簿です。経理担当者や個人事業主が毎日の業務をスムーズに進めるためにも、ぜひ活用してほしいツールのひとつです。
Excelや会計ソフトを活用しながら、正確な記帳と定期的な確認を続けていくことで、より信頼性の高い経理業務を実現できます。