簿記の学習を進めていくと、「精算表(せいさんひょう)」という言葉に出会います。試算表までは理解できても、「精算表の作り方がわからない」「何をどこに書けばよいのか混乱する」と感じる方は多いのではないでしょうか。
この記事では、簿記初心者でも理解できるよう、精算表の基本から簡単な問題を用いて実際に作成するまでを丁寧に解説します。
この記事を読み終えるころには、精算表の全体像がつかめ、決算整理仕訳と試算表とのつながりもはっきりするでしょう。ぜひ最後まで読んでみてください。
精算表とは、決算整理仕訳を行い、最終的な財務諸表である損益計算書や貸借対照表の作成に必要な情報をまとめた一覧表です。
つまり、決算前の準備表のようなものであり、数字の確認・転記ミスの防止にも役立ちます。
一般的な精算表は次のような5つの欄で構成されています。
勘定科目 | 試算表 | 決算整理仕訳 | 修正記入欄 | 損益計算書欄 | 貸借対照表欄 |
---|
それぞれの欄にどのような情報が入るのかを理解することが、作成への第一歩です。
下記の試算表をもとに、決算整理仕訳を行い、精算表を作成してください。
勘定科目 | 借方(円) | 貸方(円) |
---|---|---|
現金 | 500,000 | |
売掛金 | 300,000 | |
商品 | 200,000 | |
備品 | 400,000 | |
減価償却累計額 | 100,000 | |
買掛金 | 150,000 | |
資本金 | 1,150,000 |
まずは決算整理仕訳を仕訳帳形式で記入してみます。
減価償却費 40,000 / 減価償却累計額 40,000
仕入 50,000 / 商品 50,000
※棚卸資産200,000円 → 実在150,000円 → 差額50,000円を仕入に計上
ここでは、上記の試算表と決算整理仕訳をもとに、精算表を順に作成していきます。
まずは、元々の残高を試算表欄に記入します。
勘定科目 | 試算表(借方) | 試算表(貸方) |
---|---|---|
現金 | 500,000 | |
売掛金 | 300,000 | |
商品 | 200,000 | |
備品 | 400,000 | |
減価償却累計額 | 100,000 | |
買掛金 | 150,000 | |
資本金 | 1,150,000 |
先ほどの仕訳に基づき、決算整理欄に記入します。
勘定科目 | 決算整理(借) | 決算整理(貸) |
---|---|---|
減価償却費 | 40,000 | |
減価償却累計額 | 40,000 | |
仕入 | 50,000 | |
商品 | 50,000 |
決算整理仕訳を反映して、試算表の金額を修正します。
勘定科目 | 修正後(借) | 修正後(貸) |
---|---|---|
現金 | 500,000 | |
売掛金 | 300,000 | |
商品 | 150,000 | |
備品 | 400,000 | |
減価償却累計額 | 140,000 | |
仕入 | 50,000 | |
減価償却費 | 40,000 | |
買掛金 | 150,000 | |
資本金 | 1,150,000 |
次に、収益や費用は損益計算書欄へ、資産・負債・資本は貸借対照表欄へ記入します。
このように精算表を完成させることで、正しい損益計算書と貸借対照表の作成が可能になります。
精算表は、簿記の試験や実務において非常に重要なステップです。
本記事のポイントをまとめます。
初めは時間がかかっても、繰り返し問題を解いていくことで、精算表の作成スピードと正確さは確実に上がっていきます。
今後は、さまざまなパターンの決算整理仕訳も扱えるよう、実践的な問題にもチャレンジしてみてください!