新たに社員やアルバイトを採用する際、社内で必要となるのが「採用稟議書」です。採用稟議書は、会社の経営資源である「人」に関する重要な意思決定を促すための公式文書であり、的確な情報と説得力のある内容が求められます。本記事では、採用稟議書とは何か、基本構成、書き方のポイント、そしてすぐに使える例文を紹介します。これから稟議書を作成する方や、スムーズな承認を得たい方は、ぜひ参考にしてください。
採用稟議書とは、社員・契約社員・アルバイトなどの採用について、社内で正式な承認を得るために提出する文書です。
企業において人材採用は、単なる人員補充ではなく、経営戦略に直結する大きな投資です。よって、責任者や役員の承認を必要とし、その判断材料となるのが稟議書です。
目的は大きく3つあります。
稟議書によって、社内全体で採用の重要性と方向性を共有し、リスク管理を徹底する役割も果たしています。
一般的な採用稟議書には、以下の情報を盛り込みます。
これらの項目を網羅することで、承認者に「採用の必要性」と「リスクの有無」をわかりやすく伝えることができます。
単に「人手が足りない」では説得力が弱いため、
「○月までに新規プロジェクトが始動し、○名のエンジニアを必要とするため」など、期限や業務内容を明確に伝えましょう。
採用にかかるコストだけでなく、その結果どんな業務改善や売上拡大が期待できるか、効果を数字や具体例で示すと説得力が増します。
「経験3年以上の営業職」「コミュニケーション力重視」など、求める人物像を具体的に示しましょう。曖昧な表現を避けると、後のミスマッチ防止にもなります。
以下に、実際に社内提出できる採用稟議書の例文を紹介します。
【タイトル】
営業職(正社員)採用に関する稟議書
【提出日】
2025年4月29日
【提出者】
営業部 部長 佐藤太郎
【採用対象】
営業職(正社員)
【採用理由】
現在、営業部では新規開拓案件の増加により、担当者一人あたりの案件数が限界を超えています。
6月に予定している新製品発売に伴う営業体制強化を目的に、新たな営業スタッフを1名採用する必要があります。
【人数】
1名
【採用予定時期】
2025年6月1日入社予定
【想定年収】
年収400万~500万円(月給28万~35万円程度)
【必要スキル・経験】
法人営業経験3年以上、基本的なPCスキル、普通自動車免許保有
【業務内容】
法人向け新規営業、既存顧客フォロー、見積作成、受注管理
【採用経路】
転職エージェントおよび自社採用ページからの募集
【採用コスト見込み】
採用広告費 約50万円、紹介手数料 約100万円(年収の20%)
【期待される効果】
新規開拓件数 月10件増加、営業売上 月額200万円増加見込み
既存顧客のフォロー強化による契約継続率の向上(現状70%→目標80%)
【その他留意事項】
試用期間3ヶ月を設け、試用期間終了後に本採用決定とする。
【採用対象】
店舗販売スタッフ(アルバイト)
【採用理由】
繁忙期(夏季セール)の売上対応に伴う人員補強。
【人数】
2名
【採用予定時期】
2025年7月1日
【想定給与】
時給1,200円
【業務内容】
商品陳列、接客、レジ対応、品出し
【採用対象】
一般事務職(派遣社員)
【採用理由】
育休取得社員の業務引継ぎ・サポートのため。
【人数】
1名
【採用予定時期】
2025年5月中旬
【想定給与】
派遣会社経由:時給1,600円(交通費込み)
【業務内容】
データ入力、資料作成、電話応対、その他庶務業務
採用稟議書は、「誰を・なぜ・いつ・どんな条件で採用するか」を明確に伝える重要な社内文書です。的確な情報を整理し、採用の緊急性や費用対効果、具体的な効果予測を盛り込むことで、承認されやすくなります。本記事で紹介したポイントや例文を参考に、説得力ある採用稟議書を作成し、スムーズな採用活動に役立ててください。