ビジネスの現場では、新しい取引の提案や依頼を受けることが多くあります。
しかし、すべての依頼や提案に応じるわけにはいきません。自社の方針や予算、スケジュールの都合など、さまざまな理由から「お取引をお断りする」場面は必ず出てきます。
断る際に重要なのは「誠意を伝えつつ、相手の気持ちを害さない」ことです。言葉選びひとつで、今後の関係性を良好に保てるかどうかが変わってきます。
この記事では、ビジネスで使えるお取引を断る例文をシーン別に紹介しながら、上手な断り方のポイントを解説します。具体的なフレーズを覚えておくことで、いざという時に落ち着いて対応できるようになるでしょう。
取引を断る場面では、ただ「できません」と言うだけでは不十分です。以下の3つのマナーを意識しましょう。
新規営業や提案を受けた際に断るパターンです。
例文
「このたびは弊社にご提案いただき、誠にありがとうございます。大変魅力的な内容ではございますが、現状の方針や予算の都合上、新規のお取引を進めることが難しい状況でございます。せっかくのご厚意に沿えず恐縮ですが、またの機会にご相談させていただければ幸いです。」
このように「魅力的」と一度持ち上げたうえで、理由を伝えることで柔らかい印象を与えます。
すでに続けている取引を終了する場合は、より丁寧さが求められます。
例文
「長らくお取引いただき、心より御礼申し上げます。大変恐縮ではございますが、社内の体制変更により従来のサービスを継続することが難しくなりました。そのため、今期をもちまして取引を終了させていただきたく存じます。これまでのご尽力に心から感謝申し上げるとともに、御社の益々のご発展をお祈り申し上げます。」
感謝の気持ちを丁寧に伝えることが、良好な関係を保つカギになります。
金額面で合意できない場合の断り方です。
例文
「お見積もりをご提示いただき、ありがとうございます。大変魅力的なご提案ですが、弊社の予算枠を超えてしまうため、今回は見送らせていただきたく存じます。ご尽力いただいたにもかかわらず申し訳ございませんが、今後予算が合う案件がございましたら、ぜひ改めてご相談させてください。」
「今回は見送る」と表現すると、将来の可能性を残すことができます。
納期やリソースの問題で難しい場合です。
例文
「このたびはご依頼いただき、ありがとうございます。大変ありがたいお話ではございますが、現在進行中の案件との兼ね合いにより、スケジュール面で対応が難しい状況です。せっかくのお話に沿えず申し訳ございませんが、またタイミングが合う際にはぜひご相談させていただければ幸いです。」
時間的な制約を理由にするのは、相手に理解されやすい方法です。
自分では判断できず、会社の方針で断る場合もあります。
例文
「ご提案いただき、誠にありがとうございます。大変興味深い内容でございましたが、社内の方針により新規のお取引は見送らせていただくこととなりました。貴重なお時間をいただいたにもかかわらず恐縮ですが、今後また別の機会にご一緒できればと存じます。」
「社内方針」を理由にすると、個人的な判断ではないため相手も納得しやすい傾向があります。
他社との関係を優先するため断るケースです。
例文
「このたびは弊社にご提案いただき、ありがとうございます。大変ありがたいお話ですが、現在は既存の取引先との契約を最優先しているため、新規のお取引を開始することが難しい状況です。せっかくのご提案に沿えず誠に恐縮ですが、今後の状況次第で改めてご相談させていただければ幸いです。」
「既存の関係を大切にしている」という説明は誠実さを感じさせます。
断るときに注意すべきNG表現もあります。
これらは相手を不快にさせる可能性が高く、今後の関係に悪影響を及ぼすため避けましょう。
お取引を断る場面は、ビジネスにおいて避けて通れません。
大切なのは「感謝 → 理由 → 今後の可能性」という流れを意識することです。
この記事で紹介した例文を参考にすれば、相手に誠意を示しながらスムーズに断ることができます。断ること自体は悪いことではなく、むしろ適切な対応をすることで信頼を高められるチャンスにもなります。
いざという時のために、この記事の例文をぜひ活用してみてください。