マンションやアパートなどの集合住宅では、定期的な修繕工事や設備の更新が行われます。こうした工事にあたって、入居者への事前の案内は欠かせません。伝え方を間違えるとトラブルの原因になることもあるため、丁寧かつ正確な案内が必要です。この記事では、入居者への工事案内文を書く際のポイントや、実際に使える例文をわかりやすく紹介します。これから工事のお知らせを作成する方にとって、すぐに使えるテンプレートもご用意していますので、ぜひご活用ください。
工事案内文は、入居者が安心して生活を続けられるように「いつ・どこで・なにを・どのように行うか」を明確に伝えることが大切です。以下のような構成で書くと、わかりやすく丁寧な印象になります。
これらの要素を過不足なく盛り込むことが、スムーズなコミュニケーションにつながります。
工事案内文を書く際には、以下のポイントに注意しましょう。
1. 専門用語は避ける
専門用語や建設業界特有の言い回しは、入居者にとって分かりづらいことがあります。なるべく平易な言葉で説明しましょう。
2. 影響については正直に書く
騒音や臭い、断水など、生活に支障が出る可能性がある点は正直に伝える必要があります。事前に理解してもらうことで、クレームを減らすことができます。
3. 問い合わせ先を必ず明記する
工事について質問があった場合に備えて、管理会社や工事担当者の連絡先を明記しておくと安心です。
4. 配布方法にも注意
掲示板への掲示だけでなく、各戸に投函することで確実に読んでもらえるようにしましょう。
【外壁修繕工事のお知らせ】
拝啓 入居者の皆様には平素より当マンションの管理にご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。
さて、このたび当マンションでは、外壁の老朽化対策として下記の通り修繕工事を実施いたします。期間中は騒音や塗料の臭いなど、ご不便をおかけすることもございますが、安全に配慮し作業を行いますので、何卒ご理解・ご協力のほどお願い申し上げます。
■工事内容:外壁修繕および塗装工事
■工事期間:令和〇年〇月〇日(月)~〇月〇日(金)※天候により変更の場合あり
■作業時間:午前9時~午後5時
■工事箇所:建物外壁およびバルコニー手すり部分
■注意事項:作業中は窓やカーテンを閉めていただき、洗濯物の外干しはお控えください。
お問い合わせ:〇〇管理会社(TEL:03-XXXX-XXXX)
敬具
【室内設備点検のご案内】
入居者様各位
日頃より当物件の管理にご協力いただき、誠にありがとうございます。
下記の通り、法定点検に基づく室内設備の点検を実施いたします。つきましては、管理会社スタッフが室内に立ち入り点検を行いますので、ご対応をお願いいたします。
■点検内容:火災報知器および給排水設備の定期点検
■実施日:令和〇年〇月〇日(水)
■時間帯:午前10時~午後3時の間(順次訪問)
■所要時間:約15分
■立ち会い:可能な限りご在宅をお願いいたします。不在時は管理会社のスタッフが予備鍵にて立ち入ります。
ご不明な点がございましたら、下記までご連絡ください。
〇〇管理会社:03-XXXX-XXXX
何卒ご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
【緊急水道工事による断水のお知らせ】
入居者の皆様へ
いつも当物件をご利用いただきありがとうございます。
このたび、水道配管における漏水が確認されたため、緊急工事を下記の通り実施させていただきます。誠に恐縮ではございますが、下記の日時にて断水となりますので、あらかじめ必要な水を汲み置きいただくなどのご対応をお願いいたします。
■工事日時:〇月〇日(木) 午前10時~午後1時(予定)
■対象範囲:全室
■工事内容:給水管の補修作業
■影響:上記時間帯は断水いたします
大変ご不便をおかけしますが、ご理解とご協力のほどお願い申し上げます。
管理会社〇〇 03-XXXX-XXXX
案内文の内容だけでなく、以下のような配慮もトラブル回避に有効です。
「伝える」だけでなく「安心させる」ことも重要な役割です。
入居者に対する工事案内文は、物件の印象や管理会社・大家への信頼にも直結します。内容が伝わるだけでなく、誠実さや配慮が感じられる文面であれば、多少の不便にも入居者は協力してくれるでしょう。
本記事で紹介した構成や例文を参考に、用途に合わせた案内文を作成してみてください。どんなに小さな工事でも、「きちんと伝える姿勢」が、円滑な関係づくりの第一歩となります。