もう失敗しない!ビジネスシーンで役立つ始末書の書き方と例文5選

業務中にミスやトラブルが起きた場合、その後の対応として“始末書”の提出が求められることがあります。始末書は単なる謝罪の書類ではなく、再発防止や信頼回復のための重要なステップです。しかし、いざ書こうと思うと「どのように書き出すべきか」「必要な要素は何か」など、疑問を抱える方も多いかもしれません。本記事では、ビジネスシーンで押さえておきたい始末書の基本や書く際のポイント、そして実際に使える例文5選をご紹介します。ミスをした後こそ、誠意を示し、信頼を取り戻す絶好のチャンス。正しい書き方をマスターして、トラブルを前向きな学びに変えていきましょう。

1. 始末書とは?

始末書とは、業務上の過失や不注意、トラブル等が発生した際に、その経緯・原因・対策などを正式な文書として会社側へ提出するものです。単なる謝罪文と捉えられることもありますが、実際には「同じミスを繰り返さないための再発防止策」を示す重要な文書です。会社によっては、始末書の提出後に口頭で再発防止策のプレゼンテーションを行うこともあります。
多くの場合、始末書を提出する理由は大きく次の2点に整理できます。

  • 自己のミスに対する責任の明確化
    自分のミスや不手際が会社に与えた損害や影響を明確にし、その責任を認める行為です。これにより、今後の業務における姿勢や信頼回復に向けた誠意を表します。
  • 再発防止策の提示
    始末書の核心は、再発を防ぐための具体的な対策を明確に伝える点にあります。謝罪だけでなく、具体策や改善策を提示することが「誠実な姿勢」として評価され、信頼回復につながります。

2. 始末書を書く際のポイント

2-1. 事実関係を正確に把握する

始末書を書く前に、まずは「何が原因でミスやトラブルが起きたのか」を正確に把握することが大切です。特に複数人が関わるミスの場合、自分だけの視点に偏らず、関連部署や関係者から正確な情報を集めましょう。曖昧な情報や憶測にもとづいて書いてしまうと、かえって会社からの信用を損なう可能性があります。

2-2. 過失や責任の所在を明確にする

「自分のミスであれば、自分が責任を持つ」姿勢が大切です。他責にしたり、曖昧な表現で責任逃れの印象を与えたりすると、誠意が伝わりません。一方で、何でも自分が悪いという書き方をすると、事実と乖離した内容になりかねません。責任の範囲をきちんと把握したうえで、その部分を明確に伝えましょう。

2-3. 適切な敬語表現を使う

ビジネス文書である以上、適切な敬語表現が求められます。特に謝罪文書という性質上、へりくだった表現や謙譲語を使う場面が多くなりますが、過度に丁寧すぎる表現はかえって読みにくくなることも。相手の役職や立場、会社の文書ルール(テンプレートなど)がある場合は、それに準拠しつつ、読みやすさも意識して書きましょう。

2-4. 再発防止策を具体的に示す

謝罪だけでなく、再発防止策を具体的に提示することが最も重要です。「注意します」「気を付けます」などの抽象的表現ではなく、なぜミスが起こったのかを分析したうえで、誰が・いつまでに・どのように改善するのか明確に書くと説得力が高まります。

2-5. 原因究明と改善の意思を示す

始末書はネガティブな文章になりがちですが、あくまで「組織として次に活かす」ためのものです。どんなに些細なミスでも、その背景には何らかの組織的問題や管理不足が存在する場合があります。原因を究明し、そこからどんな学びを得たのか、今後どう生かすのかを明確にすると、前向きな姿勢が伝わるでしょう。


3. 始末書の例文5選

ここでは、実際にビジネスシーンでありがちな事例をピックアップし、始末書の文例を5つご紹介します。いずれもあくまで例文ですので、実際の状況や会社の書式に合わせて適宜修正してください。

3-1. 業務ミスに対する始末書

始末書

〇〇株式会社 〇〇部 〇〇課
氏名:山田 太郎

拝啓 平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、このたびは私の不注意により、顧客向けの請求書データに誤りが発生いたしましたことを深くお詫び申し上げます。

【事実関係】
 令和〇年〇月〇日、顧客へ請求書を送付する際、商品単価を誤って入力し、本来と異なる金額を請求しておりました。その結果、顧客からのクレームを招き、会社に多大なるご迷惑をおかけしました。

【原因】
 請求書の作成手順を誤って理解しており、チェック体制が不十分でした。また、複数の作業を並行して行っていたため、確認作業が疎かになっていました。

【再発防止策】
 今後は社内規定の請求書作成マニュアルを再度確認し、二重チェック体制を整えます。具体的には、請求書発行前に上席者へ内容をメールで確認していただくプロセスを導入いたします。

このたびの私のミスによって皆様に多大なるご迷惑をおかけしましたことを、改めて深くお詫び申し上げます。何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。

敬具

3-2. 顧客クレームに対する始末書

始末書

〇〇株式会社 カスタマーサポート部
氏名:佐藤 花子

拝啓 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 このたびは、私の至らぬ対応により、顧客からクレームを頂戴する事態となりましたことを深くお詫び申し上げます。

【事実関係】
 令和〇年〇月〇日、カスタマーサポート窓口に寄せられた問い合わせに対し、誤った商品情報をご案内してしまいました。その結果、お客様のご期待に添う対応ができず、クレームへと発展いたしました。

【原因】
 商品の仕様変更に関する情報共有が不十分であり、私自身も最新情報を把握しておりませんでした。また、問い合わせ対応時に確認作業を怠り、不正確な回答を行ってしまいました。

【再発防止策】
 今後は部署内での商品情報を定期的に更新し、ミーティングにて周知徹底を図ります。加えて、お問い合わせへの回答の前に、必ず社内データベースを確認するフローを取り入れます。

重ねて、このような不手際によってお客様ならびに社内の皆様にご迷惑をおかけしましたことを深くお詑び申し上げます。今後は再発防止に努め、誠心誠意対応してまいります。

敬具

3-3. 遅刻・無断欠勤に対する始末書

始末書

〇〇株式会社 営業部
氏名:高橋 一郎

拝啓 日頃より大変お世話になっております。
 このたびは、私の不注意および連絡不備により、無断で遅刻をしてしまったことを深くお詫び申し上げます。

【事実関係】
 令和〇年〇月〇日、朝の交通機関の遅延と私自身の寝坊が重なり、定時開始に間に合いませんでした。さらに、連絡するべきタイミングを逃し、結果として無断遅刻となってしまいました。

【原因】
 目覚まし設定に問題があり、早めに起床することができなかったことが主な原因です。また、出社が難しいと感じた時点で速やかに上司や総務部へ連絡を入れる意識が欠けておりました。

【再発防止策】
 目覚まし時計を複数設定するとともに、公共交通機関の運行情報を事前にチェックする習慣を徹底いたします。何かしら遅刻の可能性が生じた場合は、必ず上司へ電話連絡の上、社用メールでも共有する体制を整えます。

本件につきまして、社内秩序を乱す行為となり、多大なるご迷惑をおかけしましたことを深く反省しております。今後は再発防止に全力を尽くす所存です。

敬具

3-4. コンプライアンス違反に対する始末書

始末書

〇〇株式会社 総務部
氏名:伊藤 直樹

拝啓 貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
 このたび、私の不注意によって社内情報を外部へ流出させる可能性を生じさせる行為を行ってしまいましたことを深くお詫び申し上げます。

【事実関係】
 令和〇年〇月〇日、会社支給のパソコンにプライベートのUSBメモリを挿入し、社内機密資料を持ち出してしまうという行為を行いました。外部へ意図的に情報を渡したわけではありませんが、結果として情報漏洩のリスクを高める重大な違反となりました。

【原因】
 コンプライアンス規定に対する認識不足と、私自身の危機管理意識の低さが原因です。業務時間外に資料を確認する目的であったものの、適切な手順に従わず、安易に私用USBを使用してしまいました。

【再発防止策】
 社内ルールに則り、今後は外部デバイスの利用を厳禁とするほか、必要な資料は社内サーバーや会社が承認したクラウドを介して扱うよう徹底いたします。あわせて、セキュリティ教育研修を改めて受講し、同様のミスを繰り返さないよう努めます。

このたびの不注意により、会社の信用を損ねる重大な違反行為を行ってしまい、大変申し訳ございませんでした。深く反省し、以後はルールを厳守いたします。

敬具

3-5. 社外トラブル(取引先とのトラブル)に対する始末書

始末書

〇〇株式会社 企画部
氏名:松本 梨花

拝啓 貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。
 このたび、取引先である〇〇商事様との打ち合わせにおいて、私の説明不足により不信感を与え、トラブルへと発展したことを深くお詫び申し上げます。

【事実関係】
 令和〇年〇月〇日、契約内容に関する追加要件の説明を行う場で、私が正確な情報を伝え切れず、結果として取引先の意向に反した資料を提出してしまいました。その後の対応も遅れ、先方の不満が高まったことで、関係者間の調整が難航する事態を招きました。

【原因】
 打ち合わせ前の情報整理が不足しており、加えて口頭説明と提出書類に不一致がありました。取引先の要望に十分配慮せず、確認プロセスを軽視していたことが原因です。

【再発防止策】
 今後は打ち合わせ前に必ず担当者同士で情報を共有し、説明資料と口頭説明内容が一致するよう二重チェックを実施いたします。また、取引先への連絡・修正依頼は迅速に行い、小さな不明点でも早めに確認する体制を強化します。

このたびは私の至らない行動によって、大切な取引先様との信頼関係を損ねる結果となり、大変申し訳ございませんでした。再度このような事態を引き起こさぬよう、誠心誠意努めてまいります。

敬具

4. チェックポイントと注意点

  1. 会社の指定フォーマットの有無を確認する
    会社によっては定型のフォーマットや提出ルールが定められている場合があります。決まった用紙や様式があるなら、それに従うようにしましょう。
  2. 事実と経緯を正確に記載する
    不正確な情報や思い込みで書いてしまうと、後の調査や対処に支障が出ます。かえって問題が大きくなる恐れがあるため、事実確認は必須です。
  3. 言い訳や他責にしない
    「自分は悪くないが、こうせざるを得なかった」という表現は印象を悪くします。過失がある場合は、しっかりと非を認め、改善策を示す方が誠意が伝わります。
  4. 再発防止策を具体的に書く
    始末書は謝罪だけでなく「次はどうするか」を明確に示すのが最大のポイントです。「気を付けます」「二度としません」だけでは不十分です。
  5. 提出前に上司や先輩に確認してもらう
    始末書は会社にとって公的な書類です。自分で書いた後、上司や先輩のチェックを経て修正・加筆することで、より正確で適切な内容に仕上げられます。

5. まとめ

始末書は、ミスやトラブルが生じた際の“単なる謝罪文”ではなく、再発防止策や今後の姿勢を示す重要な文書です。適切な書き方を心得て、正しく提出することによって、会社や取引先からの信頼を再構築し、自分自身の成長にもつながります。

  • まずは事実関係を正確に捉える
  • 謝罪を明確に述べ、責任を明確化する
  • 再発防止策や具体的な改善案を提示する

この3点を押さえて、誠実かつ前向きな姿勢を示しましょう。ミスは避けられないこともありますが、その後の対応次第で印象は大きく変わります。始末書の書き方をマスターし、トラブルを成長の糧にしていきましょう。

以上、始末書の基本から文例までを解説しました。大切なポイントを押さえて、いざというときの参考にしていただければ幸いです。お読みいただきありがとうございました。

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